『さよならミラーマン』は「冷静」に激変をもたらす。告知のお手伝いをさせてもらうことになり、石田さんと大洋図書から写真などの素材を提供していただいたのである。それまで文章だけだった我がサイトも、主演俳優の顔写真が入りグレードアップした。 本の発行者である大澤さんは礼儀正しく、ファンサイト管理者にすぎぬ私にもメールで丁寧に接してくれた。発売が決まった頃にファンから企画や要望を募集していたが、私は大澤さんに「石田さんが撮影現場から見た70年代という感じがいい」とリクエストした。また、「石田さんの熱さが伝わるように」とも付け加えた。 「熱さ」とは、第7話「打倒!人体侵略作戦」の「ミラーハレーション!」の絶叫が印象深くてそう言ったのだが、今思い返すと『ミラーマン』の空気を表す的確な一語だったと思う。70年代の東京は夢と熱気に満ちあふれていた。大澤さんによると「石田さんが見た70年代」の案を取り入れ、当時のアナーキーな空気を残す方針にしたらしい。 余談だが石田さんのBBSに、ミラーマンのスーツアクターだった西条満さんの息子さんが書き込みをしたのも、本の発売を言い始めた頃だったと思う。おかげで、連絡が途絶えていた西条さんとの対談が実現するのだが、ミラーマンはいろいろと引き寄せる力を持っているのかもしれないと、このときは思った。 タイトルが仮題だった『さよならミラーマン』に決まったとき、「さよなら」という言葉は後ろ向きだと石田さんに申し上げた。しかし、こうしてあれこれ書いていてわかった。振り返ったときにしか見えないものもあるということが。 | ||
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